Ⅴ:洙明君の十四才の誕生日を迎えて:柳沢和(みどり幼稚園三年間の担任先生)
卒業まじかの日に、先生この子字に興味を示さないの、小学校にいってから大丈夫かしら? 大丈夫、大丈夫、自分の名前だけは書けるようにしておきましょうね。大きな画用紙にのびのびと描いた先生の顔。その後には、さいしゅめいと、自分の名前を書いて、三十九人の友達との寄せ書きの中で、一字一字を考えてかいていた洙明君、ぬけるような青空と新緑の中、南会津での素朴な人々との出会いを楽しみにしていましたのに・・・・・・
幼稚園教諭になって二十年、長い年月の中、数々の出来事はありましたが、教え子を失うとは夢にも・・・・・・心の中にポッカリと穴があき、すきま風が通り抜けている私、いえ私のみでなく、すみれぐみの友達・父母の心の中にも、又もっともっと多くの人々の心にも・・・・・・ (S六〇・二)
