Ⅲ:大韓機事件の真相明らかに:広瀬醇子 (小林正一妹)

 大韓航空機撃墜事件が一周年を迎えようとしています。私は兄夫婦を失いましたが、関係方面の方々にはいろいろご尽力いただきまして、ありがとうございました。
 家の大黒柱を奪われ、幸せな家族が、それからはばらばらに暮らさなければならなくなりました。私たちも悶々のうちにむなしく日々を過ごしています。
 私たちは、大韓機は、なぜあんなに大きく航路をはずれたのか、真相が知りたいのです。 悲惨な大事件も、時とともに忘れ去られるなら、いつか再び悲劇が起こりかねません。米ソ軍事対立のはざまで散った人たちは、単なる航空機事故の犠牲者ではありません。これをきっかけに、世界が平和に向かうことなくしては浮かばれないでしょう。
 真相究明といっても、いろいろな思惑、軍事上の機密など厚い壁に妨げられ、はかどらないことは承知しておりますが、憶測だけですまされてよい事件ではないと思います。いろいろな情報も流れていますが、真実は一つです。二度と同じような悲劇を繰り返さないために迷宮入りとならぬよう、政府や関係者の最善の努力を切にお願いする次第です。  (朝日新聞「声」、一九八四・八・十八所収)

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