Ⅳー18:真実は一つ:飯野一正 (田中ケイ子義弟)

 昨年九月一日朝交替勤務を終り、母親の入院先の県立中央病院に向う車の中でカーラジオから、KAL後行方不明のニュースを耳にした。帰路の便は記憶になく、対岸の火事的感覚できいていたのである。入院先の母も「ケイ子から連絡あった。今日帰る予定だけど」との問い。連絡が無いから予定通りと思う、といって家に帰ったが……
 車庫に入ると同時に妻が家から走り出して来た。今でも、この時の様子は思い出すのである。
 非人道的な撃墜は、ソ連の軍事基地内に迷い込んだKAL機に原因があり、なぜあのようなコースを長時間にわたり気が付きもせず飛んだのか。今月迄、各種新聞、雑誌の記事に目を通したが、どれをとっても余りにも多くのナゾがあると思う。
 我々はこの疑問が解明されない限り、KAL、米国に対し疑惑の念が残るのである。五〇○キロも航路をそれ、二時間以上ものソ連領空侵犯、ソ連軍によるミサイル撃墜、とどれをとっても過去に例のない異常な事件である。
 ブラックボックス及び機体引き上げ中止を見ても、宇宙旅行の出来る様な世の中で、たかが七~八〇〇メートルの海底の機体が引き上げられない訳が無いと思う。私なりの素人考えで、実は引き上げられなかったのでなく、引き上げなかったのでは、と思うのである。
 北のつめたい海に散った私達の肉親とともに、世界をゆるがす様な大きな真実が沈んでいる様に思えてならない。
 姉の事を思う時一つでも多くの真相を究明してゆかねばと思う。
 真実は一つ。真実をもとめて長い道程をあゆむ事になった。

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