Ⅳ-13:天国の息子への手紙:羽場由美子(羽場弘樹母)

羽場由美子(羽場弘樹母)

 弘樹元気ですか。ママは元気ですから安心して下さい。四月だというのに今朝は又雪がちらちらしてきました。きっと天国から皆がお手紙をくれたのね。ありがとう。

 天国ではやわらかい日の光に包まれ、暖かく、美しい花園の中で皆のびのびと楽しい日を過ごしているでしょうね。弘樹は広明君とテニスでもしているのかしら。それともアメフトの選手として活躍しているのかしら。そっと目をつぶると天国の光景がはっきり見えます。今弘樹が”あはははは“と大声で笑ったでしょ。どうしたの? 何かあったの? ママにも教えてちょうだい。ごめんね、ママすぐに泣いちゃって、弘樹が笑っているのだからママも笑わなくっちゃね。何時もめそめそしてたら弘樹に嫌われちゃうものね。

 今日新聞に出ていたけど(三月から毎日新聞に変えたのよ) ニューカレドニアは自然がとても美しくて、天国に一番近い国だそうよ。弘樹が迎えに来てくれる迄に一度ニューカレドミアに行って天国の味を味わいたいわ。皆がどんなにすばらしい所にいるのか、此の目で見たいし・・・・・・。

 パパもお兄ちゃんも、康雄も、おばあちゃまも元気です。お兄ちゃんは車を買います。ホングのシティターボです。“お兄ちゃんは運動神経が鈍いけど大丈夫かなあ”って弘樹は心配していたのよね。弘樹はスポーツ万能、運動神経抜群だからお兄ちゃんが車に乗る時は気をつけてあげてね。お願い。康雄は苗場へ行って(スキー) 昨日帰って来ました。弘樹のダウンジャケット、パンツ、ソックス等一式借りましたよ。無断でごめんなさいね。康雄が弘樹のを着たがって仕方がないのよ。だから弘樹の物はみんな茶箱の中に仕舞っちゃったの、康雄には内証よ。ママが弘樹のところへ逝く時には弘樹がお土産にくれたガウン(アメリカのお土産に買ったのと同じ物をアンドレアのお母様が送って下さった)を着て逝きます。そしてアメフトのヘルメット、サインをして下さったボール、其の外何を持ってゆけばいいの、お手紙頂載ね。

 今日は鈴木先生と小田先生が、きれいなお花を一ぱい持って来て下さいました。嬉しいわね。弘樹は大勢の先生達と沢山のお友達の心の中に何時迄も何時迄もきっと残っていますよ。

 弘樹は人の心に残る子です。弘樹も人の心のわかる、人の痛みのわかる子でしたもの。だから神様が天国へ召されたのかな。今年は二十数回も雪が降りました。雪が降るのは天国からのお手紙と聞きました。本当に沢山お手紙くれてありがとう。でもこれから暖かくなると雪が降りません。そしたら夢でお便り下さいね。毎晩でもいいのよ。待っていますからね。 ママも又お手紙出します。ではお元気で、広明君や皆様によろしくお伝え下さい。

住所〒91天国区天国九ノ一、切手一九八三円、でいいかしら?

ママより

弘樹へ

昭和五十九年四月一日

追伸 去年の十月、セーター、ジャンパー、トレーニング上下、ママの編んだホームカバー、手袋、ホクロン、写真、ロッキーのカセット、お水。届きましたか、届いたらお便りに 書いて下さい。

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