Ⅱ-5:大韓航空機事件当事国へ、遺族並びに、世界人類からのお願い:宮岡英夫 (石原益代女婿)

宮岡英夫 (石原益代女婿)

 九月一日あの日以来、事件の事は頭の中から離れる事が有りません。今日まで各種の新聞、雑誌の記事に目を通して来ましたが、その中で一様に上げられるのは、余りにも多くの「なぞ」に突当ると言うことです。そしてこれらの疑問が解明されない限り、事件の究明は進みようが有りません。文藝春秋三月号に永井陽之助(東京工業大学教授) 著 「現代と戦略——情報とタイミング」の中で、いかに人々、普通の人々が、その時々の戦略の為、謂われなき犠性を強いられるか、いくつかの例を史実の上から書いていますが、その中から一つだけ紹介します。

 第二次大戦中、イギリスの工業都市コベントリーは、ドイツ空軍の夜間無差別爆撃を受けた。この空襲で五万七百四十九戸の家屋が破壊され、五百五十四名の死者、八百六十五名の重傷者、四千人におよぶ市民の火傷、怪我人を出した。空襲後「ニューヨーク・タイムズ」のロンドン特派員は、コベントリー市を訪れ、「まるで大地震に襲われた郡市のようだ」と 報じている。『ザ・タイムズ』は、コベントリーを「殉教都市」とよんだ。実は、当時だれも知らなかったが、コベントリーこそ、文字通り、最高機密「ウルトラ」を守るため、犠牲に供せられた「教都市」だったのである。

 一九四○年十一月十二日朝、ゲーリングのドイツ空軍総司令部から、西ヨーロッパに展開するドイツ各航空隊基地あてに多量の無線通信が発せられた。ロンドン近郊、ブレチリー・パークにあるイギリス諜報部・ウルトラ暗号解読班によって、それは、傍受・解読されていた。その結果、ゲーリングがイギリス人に対する「復讐」のため、「月光ソナタ」という暗号名でよばれるイギリス三都市の無差別爆撃を計画・準備中の事実をつきとめた。チャーチルがこの情報を受理してから、少なくとも四十八時間、最大限六十時間の警告、準備の時間があった。そして解読された命令文には、爆撃目標として、もっぱら「一般住宅地区、歴史的記念建造物、一般市民」が指定され、その目的は「イギリス国民への一大報復」であることが明言されていたと言われていた。そしてこのきわめて確度の高いウルトラ情報にもとずき、むろん市民の退避、防空陣地の強化、戦闘機の配置がえをおこなうことは可能であった。その時間の余裕もあった。だが、チャーチルは迷った。これまでの実績からウルトラの威力をだれよりもよく知っているチャーチルは、その情報の信憑性を疑うのではなく、逆に、その高度の信頼性をもつ「ウルトラ」の機密保持のことが首相の頭の中を支配していた。このウルトラが最高の威力を発揮する時まで、いかなる犠牲を払っても保守すべき戦略上の最優先事項と考えていた。

 右の警告で、コベントリー防衛措置を講じるならば、市民の生命、財産を救うことができるが、それによって、ドイツ空軍のエニグマ暗号(エニグマ暗号機による通信文。この解読によって得られた極秘情報をウルトラという)が解読されている事実をドイツ側に感づかれる危険性があった。長期の展望にたつとき、イギリス国民のみか、西欧文明の命運にかかわる大反攻の日まで、いかなる犠牲を払ってもウルトラの機密を守りぬく責務が彼は有ると思った。チャーチルは、きたり来る大反攻の日に大ヤマをはるべく、最高の切札を隠すため、コベントリー二十五万市民を犠牲に供することさえ、いとわなかったのである。以上がこの記事である。

 チャーチルは、このウルトラを使って、あのノルマンデー上陸を果すのであるが、このように戦略によって、なにも知らされないまま、ゲームのように戦争屋の手により犠牲になった人々。戦争において、人々の間に正義などありえません。それは為政者の思い上りです。思い上りの正義のために殺されるなんて、何の名においても、許される事では有りません。

 ほんとうの所、九月一日未明のカムチャッカ半島上空の、ソ連機によるKAL機撃墜には、何人の「なぞ」も存在するはずが無いと思います。そして、ソビエト・アメリカ・韓国・日本の中の戦争屋は、KAL戦略の真相を知り尽くしているはずです。この真の情報をこれからの戦略のために使うのではなく、世界、人類平和のために、この事件の風化、歴史化を待つことなく、二度とこのような愚挙を行わないためにも、すべての情報をすみやかに公開すべきであると切に望みます。合掌。

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