1985年9月1日 / 最終更新日時 : 2025年1月12日 yamaguchi 遺族会文集 Ⅳー4:広明と電話:川名まつ (川名広明祖母) 私には八人の孫がおりました。それぞれ順調に成長して、一番若い内孫の二人も教育の最後の時機まで来て、年老いた私には何より楽しみでした。 昨年六月中旬に、シカゴ大学に留学する外孫と一緒にエール大学へ行く事になった時、私は大 […]
1985年9月1日 / 最終更新日時 : 2025年1月12日 yamaguchi 遺族会文集 Ⅳー3:未だ帰らぬ娘を偲んて:高比良綾子 (岡井葉子母) 冬の浜 帰らぬ子の名 呼びつづけ 厳寒の 海までとどけ わが涙 五月雨や 母の哀しみ 波に告げ 雲白く 涙で光る 夏の海 待つ庭に 哀しみの夏 近ずきぬ 五月雨や 面影哀し 花散りぬ 子の無念 憤りを胸に […]
1985年9月1日 / 最終更新日時 : 2025年1月12日 yamaguchi 遺族会文集(二) Ⅳー2:題なし:美濃部圭介 (大背戸みどり初孫) ゴォー あっ飛行機だ! どこのだろう? どこへ行くんだろう。 音が聞こえると、つい空を見上げてしまう。それが夜だったりすると、あれがHL7442ならばなぁーと思う。SFでよくあるように、ある日急に日本の上空にでも出現し […]
1985年9月1日 / 最終更新日時 : 2025年1月12日 yamaguchi 遺族会文集 Ⅳー1:いつの日にか帰ってくる:美濃部美緒子 (大背戸みどり長女) 「大韓航空機の事件は、アメリカのスパイ活動の犠牲になったんじゃない?」御近所の方に突然そう言われました。「そうなのよ。イケニエね。」私の答はまるでヒトゴトです。五年前のムルマンスクのこともあるし、みつかっても不時着ぐら […]
1985年9月1日 / 最終更新日時 : 2025年1月12日 yamaguchi 遺族会文集 Ⅲー4:山口正一君を思う:※※悦夫 (山口正一小学校担任先生) 七月に入り、そろそろお盆を迎えようとしている。有為の若い人が不慮の出来事で逝去され、新盆を迎えるお宅へおくやみにあがるのは、なんとも心痛むことである。 「栴檀は双葉より芳し」で山口正一君は小学校より優秀であった。ときに […]
1985年9月1日 / 最終更新日時 : 2025年1月12日 yamaguchi 遺族会文集 Ⅲー3:中沢建志君との出合い:※※洋一 (逍遙美術会長) 私が中沢君と初めて出合ったのは、彼が高三の時で、私が二十歳の秋だった。その頃、私は会社勤めにみきりをつけ、大学に進もうと独学で勉強をしていた。確か大学へ提出する書類の依頼に母校、港北高校に来て久し振りに美術部をのぞいた […]
1985年9月1日 / 最終更新日時 : 2025年1月12日 yamaguchi 遺族会文集 Ⅲー2:君は何を信じて……:※※保 (中尾修視・高校同窓生) あの日からもう一年になろうとしている。高校時代の同期生有志達でつくり始めた文集「君は何を信じて――中尾修視君を偲びて」も、やっと最終稿が仕上がり、完成の日を待つばかりとなった。 中尾君と私とは、高校時代は共に陸上部で走 […]
1985年9月1日 / 最終更新日時 : 2025年1月12日 yamaguchi 遺族会文集 Ⅲー1:「トミちゃん、元気ですか?」:※※和香 (河野富子さんの友人) 「もしもし、トミちゃん、元気? 今京都駅に着いたの。今からそっちへ行ってもいい?」 「アッ、和香ちゃん、久し振り、元気だった?待っているから早くおいでヨ。」 これが私達のいつもの会話でした。トミちゃんと私が出会ったのは […]
1985年9月1日 / 最終更新日時 : 2025年1月12日 yamaguchi 遺族会文集 Ⅱー4:家族の死を活かす道:小林啓一郎(小林正一・郁子長男) (一)大韓航空機撃墜事件の特異点 一九八三年九月一日に発生した大韓航空(KAL)機撃墜事件は、ソ連の領空を侵犯したKAL機を、ソ連がスパイ機とみなして撃墜したというものである。この事件と、他の航空機事故との一番大きな違い […]
1985年9月1日 / 最終更新日時 : 2025年1月12日 yamaguchi 遺族会文集 Ⅱー3:「尽きぬ想いの中で」:多田信子(河野富子姉) 心を染めてしまった悲しみの色は、消えません。貴女に、とうとう一通のエアメールも出さずじまいでした。 今になって悔やんで居る私を、許してくれますか?だって、貴女が今までと同じ様に元気で帰国し、懐かしい笑顔で意気揚々と私を […]