Ⅴ:編集にあたって

 あの不幸な事件の発生以来六ヶ月を経過しようという本年二月、在京遺族を中心とした話し合いの中から、遺族会内で文集を作ろうという話がもちあがった。
 その目的としては、

一、各遺族の思いを交換し、意志の疎通・相互理解の一助とする。

二 、他の遺族の考えを知ることにより、事件の真相や事件に至る国際的背景に対する認識を深めてゆく一助とする。

という二つが大きな柱であった。

 幸い皆様の理解を得ることができ、沢山の、また予期していた以上に多種多様な内容の原稿が寄せられた。 編集に際しては、大まかな内容により全体を四つの部分に分けた。この編集によって各文章の意図が歪められることなく伝われば幸いである。

 また、肉親や親族でない方にお読み頂けることもあるかと思う。未だ肉親の生存を諦めきれない苦しくつらい気持、事件の真相を知る願い、そして戦争のない本当の意味での世界の平和を望み願う気持を少しでも察して頂ければ望外の喜びである。

ユニ企画印刷の橋本昭久氏には、整理の行き届かない原稿から版を組んで頂いた。ここに心から感謝の意を表したい。

一九八四年五月  小林啓一郎

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